比体積(非容積)とは何か

雑談-流体力学

 比体積は密度(質量密度)の逆数を取った単位を\(\rm [m^3/kg]\)とする物理量で,単位質量に対する体積を表します.非容積と言ったりもします.本ブログでは\(\rho^{-1}\)と記述しますが,一般には\(v\)と書かれることが多いのでないでしょうか.密度はお馴染みの物量で使い勝手が良いにも関わらず,わざわざ逆数を取ったものを導入のか解説していきましょう.

 粒子で満たされている空間から系を選び取ってみましょう.理論上,この系は時間経過しても,その形と大きさを変えるだけで,その系を構成する粒子は不変のままです.そして,構成する対象粒子が変わらないければ質量も変わることがなく,質量保存則を満たした量として注目することができます.この選び取った質量が\(1\rm kg\)であれば,単位質量当たりの体積を示す比体積に相当します.密度は定点観測(オイラー的)をして質量が時々刻々と変化してしまいますが,比体積は観察対象と共に揺れ動きます(ラグランジュ的).

 質量保存の性質を便利に活用できる例が相変化です.液体が気化したとき,注目したい対象粒子を固定したまま体積膨張の度合いを知ることができます.エアコンの冷却原理なんかでよく見かけます.下図図の体積膨張の度合いからも読み取れるように,比体積の上昇は粒子の粗度の上昇を示す物理量です.まぁ,密度の逆数を取ることからも当然ですよね。

定点観測(オイラーの視点)

 でも実際は,空間座標系上で比体積を観察したいですようね.定点観測(オイラーの視点)で比体積を見るときは,保存性を考察することが出来なくなりますが,粗度を表す性質はそのままになります.

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