粒子数と流体力学の化学変化

雑談-流体力学

粒子数と粒子数密度

 粒子数とは文字通り,粒子の数を意味します.例えば,空気中を漂う塵だったり,宇宙空間を漂う星粒だったり,何らかの空間中の粒の数だと思ってよいと思います.ただ基本的には,分子数・原子数を指すのが一般的です.表記は\(N\)で,次元は表向き無次元数としていますが,心の中では「個」と捉えておくとよいでしょう.高校では似た量でを質量数の\(\rm{mol}\)で習い,\(6.02\times 10^{23}\)個の分子数を一単位とすると教わりましたが,粒子数は単純に1分子を一個と数えます.
 粒子数密度は,単位体積当たりの粒子数のことです.単位は\([1/\rm{m}^3]\)で,本ブログでは\(n\)で記述します.
 流体力学を中心とした開いた系では,粒子数は無数になってしまって物理現象の考察には使いにくいので,定点観測も可能な粒子数密度を導入します.粒子数の活躍する場面は,閉じた系を観察対象とした熱力学です.

流体の化学変化

 流体は化学変化を起こすと質量密度が変わりますが,粒子数密度を間に挟むことで何が起こっているか分かりやすくなります.下図から,単位体積当たりの粒子数密度と質量密度を考えると\(n=n_{\scriptsize{\rm{N}_2}}+n_{\scriptsize{\rm{H}_2}}+n_{\scriptsize{\rm{O}_2}}\),\(\rho=\rho_{\scriptsize{\rm{N}_2}}+\rho_{\scriptsize{\rm{H}_2}}+\rho_{\scriptsize{\rm{O}_2}}\)と成分ごとに分けられることが分かると思います.

また,あまり重要ではありませんが,各線分を含め\(\rho/n\)は分子量であることにも気付くでしょう.
 さて,もし\(\rm{H}_2\)と\(\rm{O}_2\)が化学反応すると
\begin{align}
n_{\scriptsize{\rm{N}_2}}{\rm{N}}_2
+n_{\scriptsize{\rm{H}_2}}{\rm{H}}_2
+n_{\scriptsize{\rm{O}_2}}{\rm{O}}_2
\rightarrow
n_{\scriptsize{\rm{N}_2}}{\rm{N}}_2
+\biggl(n_{\scriptsize{\rm{H}_2}}+\cfrac{n_{\scriptsize{\rm{O}_2}}}{2}\biggr)
{\rm{H}}_2{\rm{O}}(気)
\end{align}
と粒子数は\(\frac{n_{\scriptsize{\rm{O}}_2}}{2}\)だけ減少します.つまり密度も\(\frac{n_{\scriptsize{\rm{O}}_2}}{2}\)分だけ減少します.このように化学変化によって粒子数密度は変わり密度も変化します.
 ちなみに,今回のように水素と酸素が結び付くと爆発によって膨張しそうな感じがしますよね.そう,その感覚も正しくて,化学変化時に熱を多量に放出することで気体が熱膨し,粒子の減少量を上回ったときにそうなります.ここもちょっとポイント!!
 最後に圧力についてです.記事“圧力とは何か”で説明したように,圧力は密度と温度によって決まる量で,化学変化が起こったときもこの関係は保たれます.粒子数密度が変わると密度が変わって,同時に水素爆発のように温度変化も起こり,これらの変数が決まることで,結果圧力が決まるという順番になっています.

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