3.流体力学の独立変数と従属変数

雑談-流体力学

 本ブログでは流体の運動を軸に,古典物理学の全体を見ていきます.本記事では流体力学における独立変数と従属変数について説明していきますが,その前に流体粒子流体塊オイラーの視点のとラグランジュ視点についてやんわりでも知っていることが前提です.該当しない人は以下記事に目を通していただければ幸いです.
 1.流体粒子と流体塊
 2.オイラーの視点とラグランジュの視点

流体運動の変数

 流体力学は流体運動の考察なので,三次元空間\(\boldsymbol{x}=(x,y,z)\)上における流体の時間変化が観察対象です.流体内の一粒子に着目すれば,質点系力学で習った通り,粒子の位置は\(\boldsymbol{x}(t)\)で表します.そして,\(\boldsymbol{x}(t),t\)を元に,速度や加速度,各速度など様な物理量を割り出していきます.

 また流体は,粒子の塊としての見方も必要になってきますので,流体塊の中のそれぞれ粒子を判別できるようにする必要があります.例えば,名前を付けてもよいですし,粒子法なんかの数値計算法ですと,粒子に番号\(1,2,3,\cdots\)と番号を振っていきます.

 これとは別に,ある時間\(t=T\)での座標位置\((x_{\tiny{T}},y_{\tiny{T}},z_{\tiny{T}})\)に着目し,その座標位置を粒子に振って判別する物質座標という考え方もあります.ラグランジュの視点で流体力学を語ることも少ないのもあってか,今井先生の書籍以外で物質座標を丁寧に語ってるものに会ったことありません.

 話は変わってオイラーの視点で変数を見るときは,\(x,y,z,t\)が独立変数となり,これを元にその他のありとあらゆる物理量を従属変数と見ます.変数の見方はオイラーの視点の方がシンプルです.さて,ここで独立変数と従属変数という言葉が出てきました.数学系以外の人は,変数の解釈について曖昧なまま突き進んでいる場合もるあのではないでしょうか.一旦サクッと整理しましょう.

独立変数,従属変数,媒介変数

  独立変数は最も大元の変数で,従属変数は独立変数によって変わる変数です.オイラーの視点の場合,\(x,y,z,t\)が独立変数なので,例えば,従属変数である速度は\(x,y,z,t\)の4変数で決まります.これまで物理学を習ってきた感覚だと,速度→加速度→力→運動量→エネルギーみたいな順で決定していくような序列が無意識のうちに作られていると思いますが,従属変数は\(x,y,z,t\)次第なので,従属変数間で序列を入れ替えてることも何らかの物理的制約がなければ数学的に成立します.

 さて,媒介変数についてです.流体力学において球座標\((r,\theta,\phi)\)や円筒座標\((r,\theta,z)\)が該当します.従属変数は独立変数に従うしかないため上下関係のように捉えるとすると,媒介変数は横の関係に例えることができると思います.座標変換という言葉があるように,チェンジすると言った感じでしょうか.

 最後に,数学的には以上説明の通りにはなるのですが,ラグランジュの視点では独立変数は時間\(t\)のみになるのですが,物理的制約として一旦位置の変数\(\boldsymbol{x}(t)\)を通る条件が増えます.

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